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令和6年度介護報酬改定に向けた要望 全国老施協発第 945 号 令和5年8月7日

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令和6年度介護報酬改定に向けた要望

高齢者福祉・介護施設・事業所は、いわゆる2040年問題を控えて多様な地域特性の変化に応じて生産性向上や担い手の確保等の対応をすすめ、地域の介護と福祉を守っていかなければなりません。

一方、足元では長期化する新型コロナウイルス感染症及び物価高騰の影響で介護事業の経営が厳しさを増す中、物価高に対応する賃上げ機運の高まりにつれて異業種へ人材が流出するなど、人材難に拍車がかかっております。

もはや法人(施設)の経営努力だけでは限界に来ており、今後、介護事業を休止・廃止する事業者の増加が危惧されます。

そうなれば地域での介護サービスの必要量を充足できない、いわば地域の介護崩壊ともいうべき緊急事態を招きかねない状況に陥っています。

※このような中での令和6年度介護報酬改定においては、大幅な介護報酬の増額によって、我が国を支える高齢者福祉・介護の基盤を守るとともに地域共生社会の構築を進めていただきますよう強く要望いたします。

※ 令和3年度決算値を見ると、サービス活動増減差額比率(補助金除く)は以下のとおり。(全国老施協・収支状況等調査)
特養 0.8%、通所介護▲1.2%、ケアハウス▲7.0%、養護老人ホーム(一般型特定施設)▲ 5.2%、養護老人ホーム(外部サービス利用型特定施設)▲7.5%。 各サービスにおける赤字施設の割合は、特養が 43.0%、通所介護 46.8%、ケアハウス 43.3%、 養護老人ホーム(一般型特定施設・外部サービス利用型特定施設)51.0%。

 

全国老施協の重点要望

  1.インフレ経済下における報酬改定の在り方について
  2.介護従事者の処遇改善
  3.食費・居住費に関する基準費用額の見直し
  4.複雑化した介護サービス体系の簡素化
  5.特別養護老人ホームにおける医療アクセスの向上について
  6.小規模特別養護老人ホーム(定員30人)の存続について

1.インフレ経済下における報酬改定の在り方について

(1)賃金スライド及び物価スライドの導入

昨年来の諸物価高騰を受けて、賃上げの機運が高まっている。本年度の春闘では正社員の 賃上げ率が平均3.58%と30年ぶりの高水準となり、パートや契約社員など非正規労働 者の賃上げ率も時給ベースで平均5.01%と記録上最も高い水準となった。最低賃金につ いても物価高騰に対応し、全国平均で過去最大の上げ幅となる時給1,000円以上となる ことが決定したと報じられている。

いずれも「新しい資本主義」を目指す政府の強いリーダーシップによるものである。骨太 方針2023によれば、「四半世紀にわたるデフレ経済からの脱却」、「高い賃金上昇率を持 続的なものとすべく、(略)構造的賃上げの実現を通じた賃金と物価の好循環へとつなげる。」 とされている。

介護保険制度は、まさに法施行後四半世紀にわたりデフレ経済下にあり、インフレを経験 していない。法施行後約20年余の間、物価は概ね安定的に推移してきた。このため、消費 税率引き上げ等の制度的要因を除き、3 年に 1 度の報酬改定のインターバルでこれまで大き な問題はなかったが、上記の「構造的賃上げの実現を通じた賃金と物価の好循環」が始まれ ば、今のままでは制度の持続可能性が危ぶまれる。すなわち、高い賃金上昇率が持続する局 面ともなれば、ただでさえ全産業平均賃金との格差がある中、3 年に 1 度の介護報酬改定で は、その間に格差が一層広がり、介護人材の異業種への流出に歯止めがかからないことが危 惧される。

このため、介護報酬改定サイクルの中間年においては、経費の性質に応じて、賃金上昇率 や物価上昇率の変動によって改定する賃金スライド及び物価スライドの仕組みの導入を検 討すべきである。

 

(2)報酬基準上の費用比率の明示

全国老施協が行った収支状況等調査によれば、特養の人件費率は、制度施行後間もなくの 平成14年度では57.3%であったのものが、令和3年度には66.2%となっており、 この間大きな変化が見られる。経営における人件費率の管理は厳密になされるのが一般で あり、労働集約的産業の代表のひとつである介護事業においてはなおさらである。

しかしながら、国はこれまで報酬基準上の人件費率について明らかにしていない。地域区 分を定めるにあたり国家公務員の調整手当を参考にした経緯から「地域区分間の差異を算 定するために用いられる人件費率」は公表されているものの、事務職員、清掃員、運転手、 給食調理員、医師などの給与費を除外した不十分なものである。

報酬基準上の費用比率が明確ではない現在の状況では、介護報酬見直しの際に改定率が 適正かどうかの検証も困難であり、介護事業経営においてどの程度の人件費率が妥当なのか の目安も分からない。また、利用者にとっても介護報酬が何に使われているのか実態に合致

しているかどうかが分かりにくくなっている。 長年の改定の積み重ねにより、サービス体系及び報酬体系が複雑となり、厳密な意味での

報酬基準上の積算がないとしても、モデル的な基準上の人件費率、経費率を示していただく ようお願いしたい。上記(1)の賃金スライド、物価スライドの基本となるものである。

 

2.介護従事者の処遇改善

今年度の春闘では、岸田総理の「インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたい」との 発言を受け、一般企業においては、冒頭述べた通り正職員、非正規職員ともに 30 年ぶり又 は過去最高の引き上げ水準となった。また、最低賃金も、今年度は過去最大の上げ幅となる 時給1000円以上となることが決定した。

 

一方、介護分野では、公定価格である介護報酬が収益の中心であることから、それに対応 できるような余力がない中で、既に異業種への人材流出が見られるなど、介護人材の確保は いよいよ困難を極めつつある。

介護人材紹介業者への規制強化や外国人材の確保・定着に向けた制度改正にも大きな期 待を寄せているが、令和6年度介護報酬改定においては、異業種への人材流出を防ぐため、 給与格差の是正のための原資確保を何よりもお願いしたい。

(1)基本報酬の増額

2025年には介護職員が約32万人不足する見込みであるが、一方、UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの調査によれば、介護職員の2021年の平均年収は全産業平均と 比べ約75万円低く、給与格差は依然として大きい。人手不足が広範囲の職種に拡がる中、 低賃金に加え、敬遠されがちな夜勤等の業務も必要な介護職員数を十分に確保することは 非常に厳しい状況と言わざるを得ない。

厳しい経営状況におかれている介護サービス施設・事業所には経営の安定化と十分な賃 上げが必要であるが、専門職の加配等を要件とした処遇改善加算では深刻な人材不足により その確保が困難なため、経営の安定化に資することにはならない。また、介護職員と他職種の賃金バランスが崩れないようにする必要から、加算対象職員以外にも対応するため、経営 を圧迫している。

令和6年度介護報酬改定においては、処遇改善に関する加算による対応だけではなく、広く介護サービス施設・事業所に行き届くよう、基本報酬による増額を行うべきである。

(2)処遇改善に関する加算の一本化

処遇改善に関する3つの加算は、現在の介護保険サービスの担い手を支える非常に重要 な役割を果たしているが、その算定状況は介護職員処遇改善加算94.5%、介護職員等特

定処遇改善加算75.0%、介護職員等ベースアップ等支援加算91.3%と格差がある。 特に介護職員等特定処遇改善加算の算定率が低いという課題があるほか、「あまりに決まり事が多く、提出する必要書類が煩雑、簡素化が必要」とする現場の意見は依然として多い。

令和6年度介護報酬改定においては、令和4年12月23日公表の厚生労働省による「介護職員の働く環境改善に向けた政策パッケージ」の(3)6に記載の処遇改善に関する加算の一本化に向けた検討を確実に進めるとともに、介護職員以外の全ての職種を対象とする柔軟な運用を図り、事務負担の少ない分かりやすい算定方法に見直すべきである。

 

3.食費・居住費に関する基準費用額の見直し

物価高騰は、各施設の運営に多大な影響を及ぼしている。その影響については介護報酬で 対応すべき部分と、利用者負担で対応すべき食費・居住費に分けられる。

食費・居住費に係る厚生労働大臣が定める基準費用額については、令和3年8月に見直されているが、その後、光熱水費や食材料費のみならず、広範囲にわたり物価が高騰するとと もに、政府が目指す「新しい資本主義」により、インフレ基調が続くことが見込まれ、今後 関連職種の賃金も引き上げられていくと考えられることから、上記1で述べた介護報酬のみならず、厚生労働大臣が定める基準費用額についても物価上昇率や賃金上昇率の変動に伴いスライドする仕組みの導入を検討すべきである。

その際、低所得者対策として、現行の補足給付制度における利用者負担限度額は維持すべきである。

 

4.複雑化した介護サービス体系の簡素化

現行の介護保険サービスの報酬体系は複雑であり、多くの利用者は理解できないままサービスを受けているのが実際である。サービスおよび費用を簡素化して分かりやすくする ことは、国民の共同連帯の理念に基づき創設された介護保険制度の持続に必要であり、利用 者サイドに立って再設計が必要な時期に来ている。

また、各種加算については、種類が多すぎて、かつ要件が細かすぎるため、活用されてい ないものも多くある。介護報酬改定でサービス体系が見直されるたびに、介護現場では複雑 な要件を満たすための体制見直しや事務作業の増加による混乱が生じ、本来行うべき業務が滞るなどの弊害が生じている。算定率が低い加算は、なぜ低いかという観点から見直しをして、全体的に算定しやすいシンプルで現場が混乱しない現実的な加算体系にすべきである。

なお、管理者(施設長)が報酬改定(加算請求)への対応で事務仕事に追われており、 これが簡素化できれば本来の事業運営に専念でき、利用者との対面時間が増え、リスクマ ネジメントに割く時間が増えて、ケアの質の向上に繋がる効果が期待できる。

 

全国老施協発第 945 号 令和5年8月7日より

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